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高校野球あれこれ 第102号

名勝負列伝-【30】横 浜×関大一~ 1998年選抜大会

 

 <松坂の甲子園物語はここから夏へと続いていく>

 

高校野球あれこれ 第32号で春選抜の横浜-PL学園を振り返りましたが、翌日の決勝も熱戦の名勝負。神奈川勢と大阪勢が甲子園の決勝で対戦するのは、この大会が初だった。

最後の打者を空振りの三振にとると、横浜の選手がエース松坂のもとに駆け寄る。優勝候補の筆頭にあげられたチームが伸びやかに力を発揮して、栄冠をつかんだ。

松坂はこの試合で1998年春のセンバツ3度目となる完封勝利。打たれたヒットは4本で、三塁を踏ませないピッチングだった。この大会は5試合を1人で投げ抜き、45イニングを投げ、被安打22、失点は4。奪三振は43個で防御率は0.80と圧倒的な数字を残した。前年秋の明治神宮大会、このセンバツと全国大会“二冠”を達成した横浜。打線も13安打を放つ快勝だった。

関大一も健闘した。一戦ごとに成長を感じさせた好守で久保をもり立てた。観客総数は51万4000人。昨年の34万9000人を大幅に上回った。ややもすれば、松坂の投球だけに注目が集まってきた横浜だが、頂点に導いたのは総合力の高さだ。攻撃、守備両面で、すきのなさをみせつけた。攻めては、上、下位ともにムラがなかった。2回には、後藤の左前安打をきっかけに、下位打線の連打で先制した。関大一・久保の変化球に的を絞り、好機と見れば、早いカウントから積極的に打って出る。機に応じた打線のつながり。7回には、逆に中軸が長打攻勢でダメ押しと、理想的な展開だった。 連投の松坂をもり立てたのは、無失策の守備陣だ。関大一は走者が出ると、確実にバントで塁を進め、重圧をかけてきた。だが、少しもあわてない。派手さこそないが、内野陣が堅実にゴロをさばき、つけ入るすきを与えなかった。

一方、関大一の久保も、松坂に劣らなかった。変化球を軸に、勝負どころでは直球で内角を攻める。13安打を浴びながら、好守にも助けられ、3失点に食い止めた。あと1本を許さない粘り強いピッチングは光った。打線もしぶとさを見せたが、力負けした。

松坂の甲子園物語はここから夏へと続いていく。

本日は以上です。

高校野球あれこれ 第31号で横浜高校の名参謀、小倉清一郎氏の本を紹介しましたが今回も小倉氏の『参謀の甲子園 横浜高校 常勝の「虎ノ巻」』を紹介します。

41年間、常に監督を支える「参謀」として高校野球を指導し、3度の全国制覇、甲子園62勝を成し遂げた横浜高校野球部元部長・小倉清一郎が、その指導論を全て明かした一冊。

男は、いかに横浜高校を「常勝軍団」へと育て上げたのか。

松坂大輔涌井秀章成瀬善久多村仁志筒香嘉智……。プロの世界でも長く活躍する「教え子」たちへの指導。今でも高校野球ファンの間で「伝説の一戦」として語り継がれる、1998年夏の甲子園準々決勝・横浜対PL学園延長17回の激闘などを振り返りながら、横浜高校に叩き込んだ「勝つための野球」を明かす。

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