夏の甲子園ベストナイン ドラフト候補が揃う遊撃手で今大会最も輝いたのは…
ピッチャーは右投手と左投手を1人ずつ選出
選抜優勝の健大高崎、準優勝の報徳学園など前評判の高かったチームの多くが大会序盤に姿を消し、例年以上に混戦という印象が強い今大会。ドラフト候補としての評価ではなく、あくまで今大会での活躍ぶり、インパクトを基準としてベストナインを選ぶと、以下の顔ぶれとなった。ピッチャーについては右投手と左投手を1人ずつ選出している。
右投手:坂井遼(関東第一3年)
左投手:藤田琉生(東海大相模3年)
捕手:熊谷俊乃介(関東第一3年)
一塁手:越後駿祐(関東第一2年)
遊撃手:藤本陽毅(京都国際3年)
外野手:中村龍之介(東海大相模2年)
外野手:長谷川颯(京都国際2年)
捕手は関東第一の熊谷が高校ナンバーワンの箱山を上回る
まず右投手は今朝丸裕喜(報徳学園3年)、高尾響(広陵3年)などドラフト候補も多かったが、今大会の安定感ではナンバーワンだった関東第一の坂井を選んだ。
初戦の北陸戦では6イニングのロングリリーフで無失点。その後の3回戦、準々決勝、準決勝でも全てリリーフで登板し、0点に抑え込んでみせた。選抜当時と比べてストレートの勢いが明らかにアップし、最速は151キロをマーク。勝負所でギアを上げられるのも持ち味だ。プロ志望という話も聞くが、支配下指名の可能性もあるだろう。
左投手は馬庭優太(大社3年)、中村心大(早稲田実2年)らも見事な投球だったが、1人を選ぶならやはり東海大相模の藤田になる。準々決勝で関東第一に競り負けたものの、3試合、21回1/3を投げて自責点はわずかに2。初戦の富山商戦では7回で13奪三振、無失点と圧巻の投球を見せた。
球場表示は最速147キロだったが、NPBスカウトのスピードガンでは149キロも計測。198センチの長身でも制球力が高く、高い位置から落差のあるカーブ、チェンジアップを駆使するピッチングは安定感十分だった。進路については明言を避けたが、プロ志望届を提出すれば1位指名の可能性もありそうだ。
捕手では高校ナンバーワンの呼び声高い箱山遥人(健大高崎3年)も選抜に続いて見事なプレーを見せたが、大会を通じてのパフォーマンスでは関東第一の熊谷がトップと判断した。素早いスローイングと安定した捕球は高校生ではトップクラス。北陸、明徳義塾、東海大相模という機動力のあるチームが盗塁0に終わったのも熊谷の存在が大きかったはずだ。また打撃でも、北陸戦では貴重な追加点をもたらすタイムリー、準決勝の神村学園戦では同点打を放つなど存在感を示した。
京都国際・藤本の遊撃守備は安心感があり、中軸としても十分な働き
強打者の多い一塁手だが、今大会の成績を考えると関東第一の越後になるだろう。初戦から準々決勝まで3試合連続で複数安打を記録し、準決勝では7回にチーム初安打を放って逆転劇を呼び込んだ。さらに送りバントもしっかりと決めるなど、5番打者でありながらチャンスメーカーとしての仕事も果たした。守備はあまり目立たなかったが、打撃だけで十分に貢献は大きかったと言える。
セカンドは好守備を見せる選手が多かったが、攻守両面で存在感を示したのが東海大相模の柴田だ。8番で出場した初戦の富山商戦では、大会第1号となるホームランをライトスタンドに叩き込むなど2安打の活躍。続く2試合では2番に打順を上げ、ツーベースと内野安打を放ちパンチ力とスピードを見せた。またセカンドの守備は球際が強く、正確なスローイングも光った。いかにも2番、セカンドが似合うタイプの選手のようでいて、長打力もあるというのは大きなプラス要素である。
サードは岩下吏玖(神村学園3年)、髙橋徹平(関東第一3年)なども目立ったが、攻守ともに抜群のプレーを見せた早稲田実の高崎を選んだ。打点こそ1だったものの、3試合連続でマルチヒットを記録し、14打数7安打の活躍。186センチ・80キロと大型ながら、リストワークが巧みでセンター中心に鋭い打球を放つ。また西東京大会の前半はショートを任されていただけあって軽快なフットワークも光った。上背に見合うだけの筋肉量がついてくれば、将来はプロ入りも十分に狙えるだけの素材だ。
石塚裕惺(花咲徳栄3年)、宇野真仁朗(早稲田実3年)、中村奈一輝(宮崎商3年)などドラフト候補が多く出場したショート。そのなかでも今大会で最も活躍した選手となると、京都国際の藤本だろう。上背はないものの、姿勢が良いので170センチという数字以上に大きく見える。守備では重心が上下動せずに素早く動くことができ、巧みなグラブ捌きも一級品。速い打球も落ち着いて処理し、見ていて安心感がある。打撃もボールを呼び込むのがうまく、体を鋭く回転させ、パンチ力も申し分ない。準決勝までの5試合全てでヒットを放ち、8安打中4本がツーベースで4打点と中軸として十分な働きを見せた。
東海大相模・中村の打撃技術は3年生を含めてもトップクラス
外野手は正林輝大(神村学園3年)、徳丸快晴(大阪桐蔭3年)など注目の選手が苦しみ、3人全員が2年生という結果となった。
なかでも抜群のパフォーマンスを見せたのが東海大相模の中村だ。初戦の富山商戦で2安打を放つと、続く広陵戦では4安打4打点の大活躍。敗れた準々決勝の関東第一戦ではノーヒットに終わったものの、それでも2つ四球を選んで出塁した。バットコントロールは素晴らしいものがあり、どのコースもしっかりミートすることができる。打撃技術に関しては3年生を含めてもトップクラスと言えるだろう。
2人目は青森山田の佐藤隆樹。初戦の長野日大戦でいきなり3安打を放つと、続く石橋戦でも2安打をマーク。終盤までもつれる展開となった滋賀学園戦でも両チーム無得点の7回に内野安打で出塁し、決勝のホームを踏んだ。少し非力な感は否めないが、ミート力があり、抜群の脚力で全力疾走を怠らない姿勢も素晴らしい。相手バッテリーにとっては嫌らしい存在であることは間違いない。
3人目の京都国際・長谷川も佐藤と同じくミート力とスピードが持ち味。初戦の札幌日大戦では3安打を放ったが、レフト前ヒットの一塁到達タイムは4.2秒台を記録し、常に次の塁を狙おうとしているのがよく分かる。準々決勝からは打順が下位から5番に上がり、その智弁学園戦では貴重な追加点となるタイムリーを含む2安打1打点とチームの勝利に貢献。準決勝の青森山田戦では同点2点打を放った。守備も安定しており、外野手としての総合力が高い。
今年のドラフトで指名されそうな選手は藤田と坂井くらいで、10人中5人が2年生となったが、全体的に守備や脚力が光る選手が多かった印象だ。それだけ新基準の金属バットの影響があったと思われ、来年は長打力で目立つ選手が出てくることを期待したい。
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