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高校野球あれこれ 第187号

[高校野球]甲子園。

47都道府県すべてと対戦して勝ち星があるのはどこ?

 この夏の甲子園では、大社(島根)が旋風を起こした。初戦でセンバツ準優勝の報徳学園(兵庫)を下すなどで、ベスト8進出。実はこのジャイキリ、夏の甲子園で島根が兵庫から挙げた初めての白星でもあった。ほかにも、小松大谷が大阪桐蔭を破り、過去夏の甲子園で大阪に5連敗していた石川が、初勝利を記録している。

 高校野球は、今週末から順次、秋季地区大会が始まる。来春センバツの出場がかかる大会だから、ここからが秋の本番だ。この地区大会、地区によってはリーダー的な県がある。たとえば東北の宮城、北信越の福井あたりで、福井なら、出場枠が2の北信越にあって、敦賀気比が4年連続でセンバツ出場を果たしているのだ。

 参考までに、北信越同士の甲子園での対戦を調べると、福井は夏の甲子園で新潟、長野、富山と6回対戦し、5勝1敗(石川とは対戦なし。センバツも同様)。もちろん、秋季大会と甲子園はまた別物だけど、北信越5県の力関係を示す一例ではあるかもしれない。

やはり強いのは大阪、それと……

 都道府県別の甲子園での対戦成績を眺めると、なかなか興味深い。で、ちょっと調べてみた。47都道府県すべてと甲子園で対戦した都道府県はどのくらいあるのか。センバツでいまだアベック出場のない山形、富山、鳥取、島根は、夏も2校以上の出場がないため、対象外となる。逆に南北、東西と夏に2校が出場する北海道や東京、あるいはセンバツに複数校がひんぱんに出場したり、夏の記念大会で2校が出場する府県は、それだけ全都道府県と対戦する率が上がる。

 全都道府県と対戦があるのは北海道/東京/愛知/大阪/兵庫の5都道府県。南北北海道は1994年夏に対戦があり、東京同士は春が1回と夏が3回。72年のセンバツでは決勝が日大桜丘日大三の兄弟校対決となり、桜丘が優勝している。愛知はセンバツで戦前に4回対戦し、決勝が2回、準々決勝と準決勝が1回ずつだから、当時の強さは抜きん出ていた。大阪対戦はセンバツで2回あり、2017年は大阪桐蔭履正社が決勝で戦っている。兵庫同士もセンバツで4回対戦しているが、これもすべて戦前の記録。つまり、春夏ともに全都道府県と対戦しいているのは、東京のみということになる。愛知、大阪、兵庫は、夏に2校出場したのが記念大会の3回だけだから、まあ夏の対戦がなくても無理はないか。

 当然ながら、甲子園でたくさん試合しているほど各都道府県と対戦する可能性は上がるわけで、たとえば甲子園での試合数ランキングは大阪、東京、兵庫、愛知が1〜4位だ。勝利数のランキングも同様。

①大 阪 400勝233敗5分け

②東 京 324勝272敗2分け

③兵 庫 324勝251敗3分け

④愛 知 310勝209敗3分け

 自府県以外の46都道府県と対戦があるのが千葉、奈良、広島、香川、徳島、福岡、長崎、鹿児島の8県。広島、福岡、奈良、千葉、徳島、香川あたりは通算勝利数でも20位以内に入るから、それだけ試合数も増えてまんべんなく対戦するのはおかしくないが、長崎は勝利数ランキングは33位で、試合数はトータル168。それでいて46都道府県と対戦するというのは、ある種、クジ運に恵まれているといっていい。たとえば、長崎より多い219試合を戦っている長野は、群馬、埼玉、新潟の3県とまだ対戦がないのだ。

 以上の13都道府県で、全都道府県から勝ち星を記録しているのはたったひとつ、大阪だけだ。ただ大阪は、負け越している相手も意外と多くて群馬、愛知、岐阜、京都、広島、香川。愛知には19勝25敗(2分け)と分が悪く、ちなみにこの対戦の計46試合は、愛知対兵庫と並んで全組み合わせ中最多だ。自県を除くすべてから白星があるのが広島で、千葉は新潟に勝てばこれに並ぶ。

 自都道府県との対戦は星を分けるので、すべての都道府県に勝ち越すのは不可能だとして、どこに対しても勝率5割以上という都道府県は、さすがに皆無だ。だが北海道・東北、関東・東京、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州という8地区別での対戦成績で見てみると、大阪がすべてに勝ち越し。神奈川は、19勝19敗の四国以外、すべてに勝ち越している。ほかにも、強いといわれる県が意外な県を苦手としていたり、県別の甲子園での対戦成績、なかなかおもしろいですよ。