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高校野球あれこれ 第243号

[高校野球]これからの甲子園、監督の世代交代は進むのか

 夏の甲子園の結果を、データベースに入力しながら気づいたこと。最後は監督の勝ち星ランキングといこう。

 歴代の甲子園通算勝利では、70勝でトップを走る西谷浩一監督(大阪桐蔭、以下は「監督」を省略)が春夏合計8回の優勝回数もトップで、以下はこんな具合(○数字は優勝回数)。

2 高嶋仁(智弁和歌山など) 68勝 ③ 

3 中村順司(PL学園) 58勝 ⑥

4 馬淵史郎(明徳義塾) 55勝 ①

5 渡辺元智(横浜) 51勝 ⑤

  前田三夫(帝京) 51勝 ③

この「ビッグ5」は揺るがず、さらに40勝で続くのが木内幸男(常総学院など)、阪口慶三(大垣日大など)だ。実は夏の大会前には、広陵中井哲之も40勝で並んでおり、1回戦を突破した時点で41勝。単独の6位となったわけだ。それが……2回戦から出場を辞退し、監督からも退いた。ランキングはさらに蔦文也(池田)、小倉全由(日大三など)とビッグネームが続くが、ほとんどが勇退している。現役監督で西谷、馬淵に続くのは31勝の門馬敬治(創志学園)と斎藤智也(聖光学院)くらい。通算50勝どころか40勝も遠く、「ビッグ5」の座はしばらく揺るぎそうにない。

 それにしても、ランキング上位はずいぶん年齢層が高い。もちろん、多くの勝ち星を積み重ねるには一定以上の年数が必要だ。僕が甲子園の取材を始めたころ、池田を率いていたのが蔦監督で、失礼ながら「ずいぶんおじいちゃんだな」と思ったものだが、当時の蔦はまだ60歳そこそこ。西谷は現在56歳、馬淵はそろそろ70歳だから、気がついてみれば甲子園の監督は、ずいぶん高齢化が進んでいる。

台頭する80年代生まれ世代

 それでも、優勝した沖縄尚学比嘉公也が通算22勝に伸ばしたほか、花巻東・佐々木洋、関東一・米澤貴光が21勝とこれも20勝台に到達。順調に勝ち星を積み上げる仙台育英・須江航もちょうど20勝とし、1970〜80年代生まれの監督に、世代交代が徐々に進んでいるのは確かだ。14勝の明豊・川崎絢平、12勝の京都国際・小牧憲継、11勝の神村学園・小田大介も80年代生まれで、これからさらに勝ち星を積み上げそうだ。

 チームの成績と連動する監督の勝利数で近年、ランキングを大きく上げたのは、たとえば山梨学院・吉田洸二だ。2023年春の優勝後も、この夏のベスト4など、合計6勝をプラス。通算勝利数を27とし、歴代23位タイとなった。これは現役では前出の西谷、馬淵、門馬、斎藤、さらに29勝の佐々木順一朗(学法石川)に次ぎ、仲井宗基(八戸学院光星)と並ぶ数字だ。同じような例では、健大高崎の青栁博文も23勝。この夏やはり3勝を加えた東洋大姫路・岡田龍生も、26勝で歴代26位タイとなった。

 参考までに、通算20勝以上の現役監督のランキングを示しておく。所属は現在。数字は勝・負(引き分けは省略)・勝率。☆は優勝、★は準優勝とその回数を示す。

西谷浩一(大阪桐蔭)  70—15 .824☆8

馬淵史郎(明徳義塾)  55—36 .604☆

門馬敬治(創志学園)  31—8 .795☆4

 斎藤智也(聖光学院)  31—27 .534

⑤佐々木順一朗(学法石川)29—20 .592★2

⑥吉田洸二(山梨学院)  27—14 .659☆2★

 仲井宗基(八戸学院光星)27—15 .643★3

⑧岡田龍生(東洋大姫路) 26—13 .667☆★2

⑨小坂将商(智弁学園)  25—12 .676☆★

⑩青栁博文(健大高崎)  23—11 .676☆

 永田裕治(日大三島)  23—19 .548☆

比嘉公也(沖縄尚学)  22—9  .710☆2

 東 哲平(敦賀気比)  22—15 .595☆

⑭和泉 実(早稲田実)  21—8   .724☆

 小針崇宏(作新学院)  21—14 .600☆

 米澤貴光(関東一)   21—12 .636★

 佐々木洋(花巻東)   21—16 .568★

⑱須江 航(仙台育英)  20—6  .769☆★

中井哲之(広  陵)  41—23 .641☆2★2

 4勝1敗で準優勝しても下がってしまう、という西谷の勝率は相変わらず抜きん出ているが、門馬と須江もなかなかのものだ。また須江は、監督就任丸8年でこの数字。宮城での1強状態が続けば順当に勝ち続けるだろうし、東北勢が5人入っているのも特筆モノだ。なお、去就がわからない中井については参考とした。