[高校野球]これからの甲子園、監督の世代交代は進むのか
歴代の甲子園通算勝利では、70勝でトップを走る西谷浩一監督(大阪桐蔭、以下は「監督」を省略)が春夏合計8回の優勝回数もトップで、以下はこんな具合(○数字は優勝回数)。
5 渡辺元智(横浜) 51勝 ⑤
前田三夫(帝京) 51勝 ③
この「ビッグ5」は揺るがず、さらに40勝で続くのが木内幸男(常総学院など)、阪口慶三(大垣日大など)だ。実は夏の大会前には、広陵・中井哲之も40勝で並んでおり、1回戦を突破した時点で41勝。単独の6位となったわけだ。それが……2回戦から出場を辞退し、監督からも退いた。ランキングはさらに蔦文也(池田)、小倉全由(日大三など)とビッグネームが続くが、ほとんどが勇退している。現役監督で西谷、馬淵に続くのは31勝の門馬敬治(創志学園)と斎藤智也(聖光学院)くらい。通算50勝どころか40勝も遠く、「ビッグ5」の座はしばらく揺るぎそうにない。
それにしても、ランキング上位はずいぶん年齢層が高い。もちろん、多くの勝ち星を積み重ねるには一定以上の年数が必要だ。僕が甲子園の取材を始めたころ、池田を率いていたのが蔦監督で、失礼ながら「ずいぶんおじいちゃんだな」と思ったものだが、当時の蔦はまだ60歳そこそこ。西谷は現在56歳、馬淵はそろそろ70歳だから、気がついてみれば甲子園の監督は、ずいぶん高齢化が進んでいる。
台頭する80年代生まれ世代
それでも、優勝した沖縄尚学・比嘉公也が通算22勝に伸ばしたほか、花巻東・佐々木洋、関東一・米澤貴光が21勝とこれも20勝台に到達。順調に勝ち星を積み上げる仙台育英・須江航もちょうど20勝とし、1970〜80年代生まれの監督に、世代交代が徐々に進んでいるのは確かだ。14勝の明豊・川崎絢平、12勝の京都国際・小牧憲継、11勝の神村学園・小田大介も80年代生まれで、これからさらに勝ち星を積み上げそうだ。
チームの成績と連動する監督の勝利数で近年、ランキングを大きく上げたのは、たとえば山梨学院・吉田洸二だ。2023年春の優勝後も、この夏のベスト4など、合計6勝をプラス。通算勝利数を27とし、歴代23位タイとなった。これは現役では前出の西谷、馬淵、門馬、斎藤、さらに29勝の佐々木順一朗(学法石川)に次ぎ、仲井宗基(八戸学院光星)と並ぶ数字だ。同じような例では、健大高崎の青栁博文も23勝。この夏やはり3勝を加えた東洋大姫路・岡田龍生も、26勝で歴代26位タイとなった。
参考までに、通算20勝以上の現役監督のランキングを示しておく。所属は現在。数字は勝・負(引き分けは省略)・勝率。☆は優勝、★は準優勝とその回数を示す。
斎藤智也(聖光学院) 31—27 .534
⑤佐々木順一朗(学法石川)29—20 .592★2
⑥吉田洸二(山梨学院) 27—14 .659☆2★
仲井宗基(八戸学院光星)27—15 .643★3
⑧岡田龍生(東洋大姫路) 26—13 .667☆★2
⑨小坂将商(智弁学園) 25—12 .676☆★
⑩青栁博文(健大高崎) 23—11 .676☆
永田裕治(日大三島) 23—19 .548☆
東 哲平(敦賀気比) 22—15 .595☆
⑭和泉 実(早稲田実) 21—8 .724☆
小針崇宏(作新学院) 21—14 .600☆
米澤貴光(関東一) 21—12 .636★
佐々木洋(花巻東) 21—16 .568★
⑱須江 航(仙台育英) 20—6 .769☆★
※中井哲之(広 陵) 41—23 .641☆2★2
4勝1敗で準優勝しても下がってしまう、という西谷の勝率は相変わらず抜きん出ているが、門馬と須江もなかなかのものだ。また須江は、監督就任丸8年でこの数字。宮城での1強状態が続けば順当に勝ち続けるだろうし、東北勢が5人入っているのも特筆モノだ。なお、去就がわからない中井については参考とした。
