今チームに甲子園経験者はおらず
大阪桐蔭の評価が上がってこない理由は、二つある。まず、前チームが春夏ともに甲子園出場を逃していたことが挙げられる。大阪桐蔭は毎年のように出場していて、選手の経験が、代々受け継がれていく好循環があった。甲子園は特別な舞台で、有力校でも初戦は本来の力を発揮できないと言われている。そのため、甲子園経験者の存在は、大きなアドバンテージになる。しかし大阪桐蔭の今チームには、甲子園を経験している選手がいない。少なくとも、昨年の春夏の甲子園を経験した「関東2強」には、経験値で下回っている。
近畿大会では神戸国際大付に完敗
もう一つの理由は、近畿大会での試合内容だ。初戦で、近畿屈指の好投手・丹羽涼介(2年)を擁する市和歌山に7-1で快勝すると、準々決勝では昨年の春夏甲子園出場校の天理(奈良)を、10-0の6回コールドで圧倒した。しかし準決勝の神戸国際大付には序盤から主導権を握られ、終盤の8回にはあわやコールド負けのピンチにまで追い込まれる意外な展開に。後述する二枚看板を温存していたこともあり、投手陣のある程度の失点は覚悟の上だっただろうが、攻撃陣が13残塁と、最後まで流れを変えられなかった。これまでの大阪桐蔭からは考えられないような試合内容で、課題山積が露呈した。
左右の二枚看板にサイクル安打の4番
こうした完敗は、逆に伸びしろが大きい証でもある。投手陣は左右の二枚看板。エース格は、右腕速球派の吉岡貫介(2年)で、最速153キロを誇る。近畿大会では初戦のわずか3イニングだけのマウンドだったが無安打に抑え、余裕と貫録を見せた。
大器と期待される1年生左腕の川本晴大は、近畿大会の好投で自信をつけただろう。192センチの長身から真っ向勝負を挑み、そのスケールの大きさには無限の可能性を感じる。課題は両者に次ぐ投手の成長で、神戸国際大付戦で先発した左腕・小川蒼介(2年)らが、西谷浩一監督(56)の信頼を得ようと、目の色を変えて練習に励んでいるはずだ。
攻撃陣は、4番を打つ谷渕瑛仁(2年)が、市和歌山戦でサイクル安打を記録するなど頼もしい。1番を打つ捕手の藤田大翔(2年)は天理戦で本塁打を放つなど、打線に活気をもたらす。選手に関してはタレント揃いで、質、量とも申し分ないが、劣勢の展開で、流れを変えられるような選手の出現が待たれる。その意味では、今春から導入される「DH制」は追い風になるはずで、西谷監督の采配に注目している。
大阪桐蔭が、今大会をどこまで盛り上げるか
これまでは必ずと言っていいほど、甲子園では追われる立場だった。しかし今回は違う。戦力評価も、実績も、大阪桐蔭を上回るチームが複数ある。特に「関東2強」には、春夏の甲子園で好投した全国トップクラスの剛腕がいて、沖縄尚学の優勝に貢献した左右の両輪も3大会連続の出場を果たした。今春は、優勝候補ではない(敢えてそう言う)大阪桐蔭が、どこまで大会を盛り上げるか、いつもと違った楽しみがある。
