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高校野球あれこれ 第256号

大阪桐蔭にまたも逸材左腕!無限の可能性を秘めた192センチは、左の藤浪?横川+前田悠伍?

 センバツの組み合わせ抽選会が一週間後に迫った。春連覇を狙う横浜(神奈川)や昨夏王者の沖縄尚学、関東大会優勝の山梨学院などに注目が集まる中、地元の近畿勢はどうか。甲子園での通算勝ち星1位の大阪勢は昨年、センバツで98年ぶりに出場校がなく、夏も初戦敗退。甲子園勝利なしの1年となった。捲土重来を期して登場するのが、高校球界の頂点に君臨する大阪桐蔭だ。昨年は春夏ともに甲子園出場を逃したが、選手層の厚さは例年と変わらない。そして今チームには、期待の1年生投手がいる。192センチ左腕・川本晴大(はると=タイトル写真)だ。

近畿屈指の右腕・丹羽に投げ勝つ

 昨秋は背番号10を背負い、近畿大会では初戦と準々決勝の2試合に先発した。初戦の相手は、最速150キロ右腕・丹羽涼介(2年)を擁する市和歌山で、西谷浩一監督(56)も、「近畿を代表する投手」と警戒していた。しかし立ち上がりに丹羽の失策などで先制した大阪桐蔭は、川本が好投を見せる。「いけるところまで、飛ばしていけ」という西谷監督の言葉に発奮し、昨春センバツ出場の市和歌山打線を圧倒。6回を3安打1失点にまとめた。終盤の3回は、エース・吉岡貫介(2年)が無安打で締めて快勝(7-1)すると、西谷監督も「ひと回りくらいいければ、と思っていた。臆することなく相手に向かっていけたことで、吉岡にうまくつなげた」と、期待を上回る好投に目を細めた。

天理戦の完封勝利でセンバツ確実に

 もちろん、百戦錬磨の西谷監督のこと、この日の勝利、好投だけに目を向けているわけではない。「まだまだコントロールも悪いし、怖いところはある。立派な体なのでしっかり鍛えたいし、経験を積むことで大きく成長してくれると思う」と話し、「辻内(崇伸=元巨人)や、藤浪(晋太郎=DeNA)、松浦(慶斗=巨人)、横川(凱=巨人)とは同じようにいかないかもしれないけど、川本なりにしっかりやっている」と、指導したそうそうたるOBの名を挙げて、将来への期待を込めた。川本は、勝てばセンバツ確実となる準々決勝の天理(奈良)戦にも先発。6回コールドながら2安打完封(スコアは10-0)を飾り、大きな成長曲線を描いていることを証明した。

最速146キロで、憧れは前田悠伍投手

 埼玉県飯能市出身の川本は、中学時代からU-15の日本代表にも選ばれるほどの注目投手で、当然のことながら地元を始め多くの強豪からの誘いがあったはず。それでも「テレビで見ていて、ずっと(大阪桐蔭に)行きたかった」と、敢えて関西の厳しい環境を選んだ。「憧れは前田悠伍さん(ソフトバンク)。まっすぐで押していけるし、変化球もいい」と、目標として若い先輩の名を挙げる。現在の最速は146キロで、伸び上がるようなダイナミックなフォームから、いかにも力のありそうな球を投げる。

四球を出してもベンチでは「オッケー」と西谷監督

 中学卒業時、190センチあった身長は、1年足らずで2センチ伸びた。「まだ伸びていると思う」と苦笑いし、「身長を生かして角度のついたボールを意識している」と言う。ただし、前田のように四球の心配がないわけではなく、天理戦では回の先頭打者をあっさり歩かせる場面もあった。「(身長が高いと)出力が大きい分、ばらけるし、まとめていくのはプロでも難しい。フォアボールを出しても、ベンチでは『オッケー』と言っている」と、西谷監督も長い目で成長を見守っている。「辛抱がいるけど、ロマンはある」と話すあたりは、前述の歴代OBともダブるのだろう。

横川+前田か、藤浪の左版か

 長く大阪桐蔭を見ているが、川本は、彼らの長所をあわせ持っているように感じる。左腕で言えば、横川の長身を利した投球スタイル、プラス前田のようなまっすぐの力強さとキレ。そして粗削りながらも豪快なタマは、藤浪の「左版」と言ったところか。もちろん、西谷監督が言うように、制球面での不安は付きまとう。しかし川本は、それを補って余りある可能性を秘めている。センバツでベールを脱ぐ新たな大阪桐蔭の逸材が、どんなデビューを果たすか、楽しみしかない。