3校初戦敗退、22失点で再燃 “21世紀枠の是非・センバツ地域枠問題”の根本は?〈聖隷クリストファー落選も無関係じゃない〉
「21世紀枠の高校に勝つのは当たり前」
「聖隷クリストファーなら、もっと大差で勝てた」
大垣日大(岐阜)がセンバツ初戦で只見(福島)に勝利すると、インターネット上に心ないコメントが並んだ。コメントを投稿した人の不満や批判の矛先は、おそらく日本高等学校野球連盟に向けられている。だが、結果的に大垣日大と只見、両校の選手たちや関係者を傷つけた。
大垣日大の選出は、当事者さえ予想していなかった。
センバツ切符をかけた昨秋の東海大会準決勝で、大垣日大は優勝した日大三島(静岡)に5-10で敗れた。終盤に得点し、何とかコールド負けを回避した内容だった。決勝で日大三島に敗れた聖隷クリストファー(静岡)は3-6の接戦。センバツに出場する東海地方の2枠は、決勝に進んだ2校で決まりとの見方が大勢を占めていた。
ところが、選ばれたのは日大三島と大垣日大の2校。大垣日大の阪口慶三監督は「センバツ出場は100%ないと思っていました。まさしく夢の夢」と驚きを隠せなかった。一方、聖隷クリストファーの上村敏正監督はセンバツに向け、チーム作りだけでなく、荷物の移動などの準備も進めていた。まさかの落選に「選ばれるものだと思っていました」と声を詰まらせた。
■大垣日大vs只見になったことで別の問題が再燃
夏の甲子園と違い、「センバツ」には出場校の選考に明確な基準はない。ただ、地区大会の上位校が選ばれるのが通例だったことから、大垣日大の選出に議論が巻き起こった。
東海地区選考委員長は「個人の力量で勝る大垣日大か、粘り強さの聖隷かで選考委員の賛否が分かれましたが、投打に勝る大垣日大を推薦校としました」と選考理由を説明。静岡県から2校を選ぶ地域性を「全く考慮していません」と全面的に否定したことが、騒動を大きくした。
高野連の説明に納得できない世論の一部からは、いつしか「大垣日大が出場を辞退すべき」との声も上がった。何の非もないにもかかわらず、夢の舞台に立つ権利に異議を唱えられた大垣日大ナインは、“逆風”を受けながら聖地に立った。そして、初戦の相手が21世紀枠の只見だったことで別の問題が再燃した。
21世紀枠の是非――。
21世紀枠は21世紀最初の2001年から導入された。
地区大会でベスト16以上など一定の基準をクリアした上で、他校の模範になったり、困難を克服したりした高校が選ばれる。地区大会を勝ち抜いた高校と比べるとチーム力は落ちる傾向にあり、センバツで初戦敗退が続いていることなどから「廃止すべき」という意見も少なくない。
今大会も21世紀枠で出場した3校は、いずれも初戦敗退。丹生(福井)は広島商(広島)に7-22で大敗した。21世紀枠同士の対戦を除くと、2015年に松山東(愛媛)が二松学舎大付(東京)を破って以来、勝利がない。
■球児も地元も観客も勝利以外の要素を求めている
センバツの意義や使命が、各地域から可能な限り力の拮抗した高校を集めて頂点を争うことにあれば、すぐにでも21世紀枠を廃止すべきだろう。しかし、球児も地元の人たちも観客も、少なからず勝利以外の要素を求めている。
只見はセンバツ出場が決まると、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングで遠征費や活動費を集めた。約2週間で目標の500万円に到達。人口わずか4000人ほどの町から聖地に向かう選手たちを支援する動きは、全国へ広がった。
只見の選手たちは大垣日大に敗れた後、周囲への感謝の言葉を繰り返した。
吉津塁主将は「一言で感謝を伝えるのは難しいくらい、たくさんの応援やご支援をいただきました。全国で通用するレベルではありませんでしたが、甲子園で野球ができる幸せを感じました。周りの方々へ恩返しする場面は、まだまだあるので頑張っていきたいです」と部員15人の思いを代弁した。
長谷川清之監督は「過疎地で高校野球の重要性をひしひしと感じる中、子どもたちは少ない人数ながらも一生懸命、甲子園と言葉に出してやってきました。同じ会津地域の皆さんへの刺激になればと思いますし、いつ、誰から見られても恥ずかしくない取り組みを続けて行きたいです」と語っていた。
■21世紀枠の存在で変化した高校もある
広島商に大敗した丹生の選手たちも表情は晴れやかだった。
来田竹竜主将は「子どもからお年寄りまで地域の方々に支えられて甲子園に出られました。試合には負けましたが、プレーする姿で恩返しできたと思います。球場が盛り上がるのが楽しくて、うれしかったです」と夢の時間に浸った。
春木竜一監督は「試合展開は残念でしたが、経験は選手の財産になり、もう一度、この舞台に立ちたいと思った選手が大半だと思います。甲子園に出た高校が今年の夏にどんな戦いを見せるのか地元でも注目されます。選手たちは変わるはずです」と充実感をにじませた。
春木監督がイメージするように、21世紀枠での出場をきっかけに大きく変わった高校がある。
昨秋の九州大会で準優勝し、今春のセンバツに“自力”で出場した大島(鹿児島)だ。
2014年に初めて甲子園に出場した時は21世紀枠だった。8年前、聖地のアルプススタンドから試合を見ていた野球少年の中には、今の大島のエースでプロ注目の大野稼頭央投手もいた。
チームには甲子園に初出場した姿を見て、大島に進学した選手も少なくない。聖地を目指して鹿児島市へ“流出”していた選手が、地元に残るようになった。
さらに、離島ならではの苦労も軽減された。
大島が対外試合をするには、奄美大島から船で10時間をかけて鹿児島市に行かなければならない。しかし、21世紀枠で甲子園に出たことで、鹿児島市内の高校や県外の強豪校が奄美大島を訪れるようになったという。大島は2014年、龍谷大平安(京都)に2-16で大敗している。全国の高い壁に跳ね返されたが、8年を経て全国で戦えるチームへと成長した。
■問題の根本は、高野連への不信感にたどり着く
人それぞれに考え方や価値観が異なる以上、21世紀枠の是非は今後も続く。
数字や結果といった明確な基準がないセンバツ出場校の選考も同様だ。聖隷クリストファーの落選を受けて、高校野球ファンからは「東海地方の枠が2つなのが問題」、「東京枠も見直すべき」といった本筋から派生した疑問や不満が噴出した。
問題の共通点や根本をたどると、高野連への不信感にたどり着く。
時が流れても一度つくった仕組みを変える必要性を検討せず、重要事項は密室で話し合われて決定に関する説明が足りない。旧態依然、透明性の欠如などと揶揄される。どんな問題にも賛否は分かれ、世間から反対や反論がゼロになることはないだろう。
ただ、高野連は批判の矛先が球児に向くリスクを忘れてはならない。
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