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高校野球あれこれ 第172号

甲子園には関係ないけれど… 春の近畿優勝校は夏の甲子園鉄板か? 王者は7大会連続で夏の甲子園に!

 

  春の地区対大会は甲子園に直結しない。とは言え、夏のシード権が懸かるだけでなく、好成績だったチームには勢いがつく。近畿の春の王者は、確実に夏の甲子園に出ているという、近年のデータもあるほどだ。

 

惜敗の智弁和歌山は秋の悔しさ晴らした?

 春の近畿大会は、センバツ出場校と秋に不振だった名門が決勝で顔を合わせ、息詰まる熱戦を展開した。出場8校中、唯一のセンバツ出場校だった京都国際(タイトル写真は昨秋の近畿大会時)が、実力随一の智弁和歌山に9回、3-2でサヨナラ勝ちして、秋、春を通じて初の近畿王者に輝いた。智弁和歌山は秋、田辺に逆転満塁弾で不覚をとり、近畿大会出場を逃した。和歌山は、耐久が近畿4強でセンバツに初出場し、田辺も智弁和歌山戦などが高評価を得て、21世紀枠で選ばれた。その悔しさを春の近畿大会で少しは晴らせたのではないだろうか。5人の速球派を擁し、総合力は全国でも上位にランクされる。

 

京都国際は下級生左腕が急成長

 京都国際は決勝を前に、明石商(兵庫)、天理(奈良)にも完勝した。近年の京都では一枚、抜けた存在で、秋こそ府大会決勝で京都外大西に惜敗したが、春にきっちりお返しし、近畿でも実力の高さを証明した。エース・中崎琉生(3年)に加え、近畿大会では同じ左腕の西村一毅(2年)が完全に一本立ちした。智弁和歌山戦の完投勝ちは自信になるはずで、秋は「中崎とほかの投手では大きな差がある」と話していた小牧憲継監督(40)も、西村の急成長には安堵しているだろう。中崎の負担を軽減するためセンバツ後、主将を4番打者の藤本陽毅(3年)に変更した。これも好循環の一因だろう。夏に向けて好材料しか見当たらない。

 

7大会連続で春の近畿王者は夏の甲子園

 好材料と言えば、京都国際には大きな吉兆がある。近年、春の近畿大会優勝校は、確実に夏の甲子園切符を手にしているのだ。昨年の智弁学園(奈良)からさかのぼって、22年の智弁和歌山、21年の大阪桐蔭、中止の20年をはさんで、19年の近江(滋賀)、18、17年の大阪桐蔭、16年の履正社(大阪)まで、7大会連続で近畿王者は夏の甲子園に出場している。準優勝校も同じ7年間で4校が夏の代表になっているが、近年の傾向から、春の近畿の王者が、夏に向けて大きなアドバンテージを得ていることは確かだ。

 

7月6日に近畿の4大会が開幕

 近畿の夏の地方大会は、7月6日に大阪、兵庫、京都、滋賀の各大会で幕を開ける。組み合わせ抽選も間もなく行われ、当面の目標がハッキリする。残された時間はほとんどない。すべてのチームが万全の状態で、悔いのない試合をやれるよう祈っている。