ぼくらのサイトⅢ

スポーツ、特に高校野球の記事を中心にして、監督、伝説の試合、結果考察などを記しています。 記事に関連した書籍やコーヒー機能付きウォーターサーバー、  生ビールサーバーを紹介しています。

高校野球あれこれ 第171号

夏の甲子園「久々の出場を期待できる5校」 東京、大阪など激戦区で“古豪復活”の予感も

 

  高校野球の春の地区大会は14日に開幕する東北大会を残しているが、22日には早くも北北海道、南北海道、沖縄で夏の地方大会が開幕し、甲子園出場をかけた戦いがスタートする。昨年は慶応(神奈川)が実に107年ぶりとなる優勝を果たして話題となったが、このようにかつての強豪校が躍進を果たすと甲子園が盛り上がることが多い。そこで今回は今年、夏の甲子園で久しぶりの出場が期待されるチームを5校ピックアップしてみたいと思う。

 

  まず真っ先に名前が挙がるのが帝京(東東京)だ。春1回、夏2回の甲子園優勝を誇り、“東の横綱”と言われた強豪も、2011年夏を最後に10年以上甲子園からは遠ざかっている。ちなみにこの時は当時2年生だった大谷翔平(現・ドジャース)を擁する花巻東(岩手)を初戦で破ったものの、2回戦では八幡商(滋賀)に9回に逆転満塁ホームランを打たれて敗れている。

 

 ここ数年は関東一、二松学舎大付などの後塵を拝することが多かったが、春の東京都大会では昨年、今年と2年連続で優勝。特に今年のチームは力のある打者が揃い、春の都大会、関東大会の10試合全てでホームランが飛び出し、合計83得点を奪うなど強打の帝京復活を強く印象づけた。投手陣には少し不安が残るものの、新基準の金属バットに苦しむチームも多いだけに、その強力打線で一気に東東京を制する可能性も高いだろう。

 

 東北で復活の兆しを見せているのが学法石川(福島)だ。夏の甲子園の最後の出場は1999年で、近年は福島と言えば聖光学院という時代が長く続いている。しかし2018年秋に長く仙台育成で結果を残した佐々木順一朗監督が就任すると、そこから徐々に力をつけて昨年秋には東北大会で準決勝に進出し、今年春のセンバツ出場を果たした。センバツ本大会では2年生ながら4番で捕手と投手で活躍している大栄利哉を怪我で欠いたこともあり(代打で出場)、初戦で敗れたものの、優勝を果たした健大高崎(群馬)を相手に終盤まで接戦を演じている。得点力に課題は残るものの、手堅い守備が光るだけに、夏も福島大会の優勝候補の一角であることは間違いない。

 

  北信越で久しぶりの出場に期待がかかるのがこれまで春夏合わせて22回の出場を誇る金沢(石川)だ。近年の石川県は今年のセンバツにも揃って出場した星稜と日本航空石川が二強となっており、釜田佳直(元・楽天)がエースとして活躍した2011年(春夏連続出場)以来甲子園出場からは遠ざかっている。

 

 昨年秋の県大会も準々決勝で星稜を相手に1対8と大敗を喫したが、冬の間にチームは大きく成長。春の石川県大会では3試合で25点を奪い、準々決勝の日本航空石川戦も延長10回タイブレークの接戦を演じている。ショートの斎藤大翔はプロのスカウトも注目するドラフト候補であり、そういう点でもこの夏の戦いぶりに注目してもらいたい。

 

 全国一の出場校数を誇る愛知で復活の期待がかかるのが享栄だ。夏は1995年を最後に甲子園から遠ざかっているが、ライバル校である中京大中京で全国制覇も達成した大藤敏行監督が2018年8月に就任。それ以降は度々あと一歩というところまで勝ち進んでいる。

 

 今年のチームは昨年の東松快征(現・オリックス)のようなプロが注目するような投手は不在だが、春の県大会では準決勝でセンバツ出場の豊川、決勝では中京大中京を破り見事に優勝を果たした。続く東海大会では初戦でエースを温存したこともあって序盤に大量失点を喫し、菰野(三重)に7対9で敗れたものの、終盤にはあと一歩のところまで追い上げを見せている。今年の愛知は本命不在という印象だけに、享栄にも十分にチャンスはありそうだ。

 

 今年春の大阪は大阪学院大高が履正社大阪桐蔭を相次いで破って優勝を果たして大きな話題となったが、もう1校面白い存在になりそうなのが興国だ。1968年に夏の甲子園優勝を果たしたものの、1975年を最後に約50年近く夏の甲子園出場からは遠ざかっている。しかし2018年夏に元ロッテの喜多隆志監督が就任するとチームの成績は上昇。昨年秋は3位、今年春は準優勝と優勝まであと一歩のところまで迫っているのだ。

 

  主戦の熊谷直也(3年)はサイドスローで高い制球力が持ち味で、2年生ながら4番に座る大鶴彪太朗など野手も力のある選手が揃っている。大阪桐蔭履正社の2強の壁は高いものの、春に大阪学院大高がそれを破ったことも大きな刺激となっているはずだ。

 

 その他では松山商(愛媛)、津久見(大分)なども秋、春の県大会で結果を残しており、夏の有力校として見られている。春から新基準の金属バットが導入された影響もあって、近年結果を残してきたチームが苦しんでいる例も見られるだけに、多くの伝統校が一気に夏の甲子園に返り咲くということも十分に期待できるだろう。