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高校野球あれこれ 第66号

新チームを挟んで夏、春の2季連続甲子園出場を果たす難しさ 今夏出場校が続々と敗退

 

来春センバツ出場の重要な参考資料となる高校野球の秋季東京大会の決勝が13日に行われ、東海大菅生が2年ぶり4度目の優勝を果たし、来春選抜出場の当確ランプをともした。これで各地区大会の全日程が終了したが、都道府県大会では今夏の甲子園に出場した高校が続々と敗退。新チームに移行しての2季連続で甲子園に出場する難しさを実感した。

 

 青森大会では、八戸学院光星弘前東に初戦の2回戦で敗戦。滋賀大会では今春センバツ準優勝、今夏の甲子園4強の近江は3回戦で彦根東に敗れた。福岡大会では、注目のスラッガー・佐倉侠史朗内野手(2年)を擁する九州国際大付も北筑に初戦の3回戦で敗退。対戦相手はいずれも県内で上位に入るチームだったが、早期で敗れた。なぜ、勝ちきれないのか。その理由の一つに、甲子園に出場したチームは、新チームに移行する期間が短かったことが、挙げられるのではないだろうか。

 

 今夏の甲子園に出場したが、秋季近畿大会で1回戦負けと来春センバツ出場は絶望的となっている京都国際(京都)の小牧憲継監督(39)は「甲子園に出場して、新チーム始動までの時間は大きい。だいぶ遅れる」と話す。また、「愛工大名電の倉野監督も言っていたけど、うちがこの春は辞退したけど(昨春から)3季連続で甲子園出場を決めて『すごいよな』と真剣に話してくる。『愛知県で3季連続は無理。夏出たら秋は捨てる』と言っていた。間に合わないから」と強豪校の監督も夏、春と2季連続で甲子園に出る難しさを痛感している。

 

 甲子園出場期間中、新チームは練習こそしているものの、原則試合を組むことができない。そのため、下級生が実戦経験を積むことが難しくなる。「下級生だけの試合とかを認めてもらえたら」と小牧監督。「反省を生かしてではないけど、5月ぐらいから新チームに向けたチームを作っておいて、秋に向けてゴールデンウイークぐらいから試合を始めていました」と、スムーズに新チームに移行できるよう試行錯誤している。

 

 今秋の関東大会4強で来春センバツ出場に当確ランプをともしている慶応(神奈川)。森林貴彦監督(49)も春夏連続で甲子園に出場した18年を振り返りつつ「(甲子園に出場すると秋は)1、2年生がなかなか練習ができていないので技術、体力がどうしても落ちているところがある。あとは『甲子園に出た』というところで、もう一回そこを目指してやろうというところが精神的にも難しいかなと。1回穴が開いちゃうとか」と達成感を得た選手らのモチベーション向上の難しさも語る。

 

 続けて、「新チームは、技術、体力プラス精神的にも、いろんな意味でハンディを背負いながらスタートする。そこを埋めて行くには、2年生で中心になって出ている子たちが何人かいるのが大きいかなと思います」。大幅な戦力ダウンを避けるためには、試合経験のある下級生の存在が大きい。

 

 また、軸となる投手が残っている高校は、比較的勝ち上がっている印象がある。森林監督は「秋はどのチームも学年が一つ下がるので打力も下がる。0に抑えなくてもいいけど、2、3点に抑えられる投手が何人いるか。何人でそのくらいに相手を抑えられるか、計算が立つのはすごく大事かなと思いました」。実際に秋季大会は、背番号1の松井喜一投手(2年)と小宅雅己投手(1年)の2人を軸に勝ち上がってきた。

 

 全国屈指の強豪校・大阪桐蔭もプロ注目の最速148キロ左腕・前田悠伍投手(2年)を軸に大阪、近畿を勝ち抜いて来春センバツ出場を当確させた。東海大菅生もエース右腕・日当直喜投手(2年)以外は経験値の少ない選手ばかりだったが、東京の頂点に。夏の甲子園に出場し、新チームでもセンバツ出場を目指すには、いかにスムーズに新チームへと移行できるか。軸となる投手陣を形成できているか。少なくともこの二つが、甲子園切符をつかむカギになるだろう。