第95回センバツの出場校が決まった。記念大会ということで、史上最多タイの36校が集う。昨年は東海地区で大波乱があったが、今年は概ね平穏だった。それでもきわどい選考になった地区はある。

近畿は社が打力を評価される

 大阪桐蔭神宮大会制覇で7校選出の近畿は、4強に次いで履正社(大阪)、彦根総合(滋賀)の順で入り、7校目は(兵庫)が高田商(奈良)を抑えた。ともに公立で、準々決勝では完敗していただけに、どこに差異があったのだろうか。選考会での説明では、社が天理(奈良)に13-7で打ち勝った点が評価された。天理は奈良大会で高田商に12-2で圧勝している。そこまでの言及はなかったが、三段論法で天理を尺度にすれば説明がつく。昨年に公表された選考のガイドラインによれば、戦力が同等と判断した場合は地域性を優先するとあるが、それ以前の問題だったようである。

近畿大会は組み合わせに大きく左右される

 両校については近畿大会での2試合を見たが、勝った試合では特長がよく出ていた。初戦の相手はともに予選1位校であり、高田商は投手力に優れ、社は打力にたくましさが感じられた。これはもう選考委員の判断に委ねるしかなく、選に漏れた高田商には、夏に向けて捲土重来を期待するとしか言えない。また、大阪桐蔭に初戦敗退ながら実力上位の神戸国際大付(兵庫)を推す声も多く、最終枠を巡っての3校の比較は長い議論になったようである。出場校の割に選出枠が多い(16校中7校)近畿地区が、組み合わせに大きく左右されるという思いを改めて実感した次第である。

中国・四国は地域的バランスも考慮

 関東・東京の「抱き合わせ枠」は、関東6番手の横浜(神奈川)と東京2番手の二松学舎大付の比較になり、二松学舎が打力を評価されて横浜を抑えた。横浜は投手力を高評価されたが、関東大会で打線低調だったのが惜しまれる。中国・四国については、中国3番手の鳥取城北と四国4番手の鳴門(徳島)で比較し、鳥取城北に決まった。この結果については、広陵(広島)と好勝負を演じ、投攻守にわたってハイレベルとチーム力を評価されたと同時に、「地域性も考慮した」との説明があった。一般枠での3校に加え、21世紀枠選出もあって四国は4校の出場が決まっていた。中国2に対し、四国5ではいかにもバランスが悪い。

21世紀枠は継続が今後につながる

 21世紀枠はプレゼンテーションから傍聴したが、甲乙つけがたかった。東の氷見(富山)、西の城東(徳島)を決めたあと、残る1校は決選投票にもつれ込んだようである。最終的には、石橋(栃木)が、小野(兵庫)と稚内大谷(北海道)を抑えて滑り込んだ。それぞれがいい取り組みをしていることは当然で、これば候補9校に共通している。石橋は3回目、城東は2回目の候補であり、プレゼンでも発表者から「継続していい取り組みをしている」という言葉があった。過去もあったが、この枠は、複数回、候補に挙がったチームにアドバンテージがあることもはっきりした。今回、選に漏れたチームには、今回の貴重な体験を後輩たちに継承してもらいたい。