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高校野球あれこれ 第138号

近畿大会3連覇の大阪桐蔭に、またも怪物級投手が出現! あのドラフト1位投手と同じ軌跡を辿る!

大阪桐蔭の189センチの大型右腕・森は、先輩の前田と同じ軌跡を描く

 秋の近畿大会で、史上初の3連覇を達成した大阪桐蔭にまたも逸材が出現した。189センチの大型右腕・森陽樹(はるき・1年=タイトル写真)だ。初戦の高田商(奈良)との試合で3番手として登板すると、自己最速の151キロをマークした。

報徳との大一番でも151キロ

 森の進化は止まらず、センバツを懸ける大一番となった報徳学園(兵庫)との準々決勝では、1点差に迫られた8回から登板すると、2回をパーフェクトに抑え、4つの三振を奪った。

 

報徳最後の打者、4番の齋藤佑征(2年)を三振にうち取った森。西谷監督は「粗削りだがスケールの大きな投手。大きく育てたい」と逸材に期待を寄せる(筆者撮影)
報徳最後の打者、4番の齋藤佑征(2年)を三振にうち取った森。西谷監督は「粗削りだがスケールの大きな投手。大きく育てたい」と逸材に期待を寄せる

 

 「一番大事な試合で抑えられて自信になった」と話す森は、この日も自校のスピードガンで151キロが複数回、出ていて、西谷浩一監督(54)も「ナイターになったので、(球が)速い方がいいと思った」とスーパールーキーの活躍に満足そうだった。

近畿大会決勝では7回無失点

 公式戦では救援登板しかなかった森だが、京都外大西との近畿大会決勝では先発のマウンドにも立った。テスト登板とも言えたが、日の出の勢いの森は、西谷監督の期待をはるかに上回る7回を投げて、3安打無失点。9つの三振を奪った。わずか85球で7回を投げ切っていて、大型投手にありがちな制球面の不安も見当たらない。8回に1点を失い、9回も一打逆転のピンチを招いたエース・平嶋桂知(2年)が霞んでしまうようなパフォーマンスだった。

宮崎の中学時代は軟式球で143キロ

 森は宮崎県北部の延岡市出身で、中学時代は軟式野球の部活をしていた。この段階ですでに143キロが出ていたというから恐れ入るが、大阪桐蔭入学後、間もない6月の享栄(愛知)との練習試合(バンテリンドーム)で146キロに更新。そして新チームになってすぐの、それもセンバツを懸けた大事な試合で150キロを超えた。「硬式球の方が重くて投げやすい。指先を意識して投げるようにしている」と話し、スピンのきいた速球を投げ込んでいる。

「高校で160キロが目標」ときっぱり

 西谷監督が「おっとりしている」と評するように、森は童顔で、話していても穏やかな印象を受ける。しかし「佐々木朗希さん(ロッテ=22)のように、高校で160キロを出して、ドラフト1位で指名されたい」と、目標をはっきり口にした。近畿大会3試合で10回無失点の投球は、一昨年の秋に鮮烈デビューした前エース・前田悠伍ソフトバンクからドラフト1位指名)に重なる。

前田も秋に鮮烈デビューしていた

 前田は大阪大会の終盤から主戦級にのし上がり、近畿大会優勝の原動力となった。西谷監督をして「教えることは何もない」と言わしめた前田は、紆余曲折あったにせよ、ドラフト1位という最高評価を得てプロの世界へ巣立つ。

 

ドラフト1位指名を受け、同級生たちから祝福される前田。森は「前田さんのように1位で指名されたい」と再来年の秋を見据える。前田からは「変化球の握り方などを教えてもらった」そうだ(筆者撮影)
ドラフト1位指名を受け、同級生たちから祝福される前田。森は「前田さんのように1位で指名されたい」と再来年の秋を見据える。前田からは「変化球の握り方などを教えてもらった」そうだ

 

 ここまでの森は、まさに前田と同じ軌跡を辿っている。この先は、15日開幕の明治神宮大会、そして来春のセンバツが待っている。前田はそのいずれでも頂点に立っていた。目標の再来年秋までに、前田を上回るような結果を残すことはできるのだろうか。