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高校野球あれこれ 第128号

佐々木麟太郎の米留学決断 「早熟化」も進むメジャー目指す新たな道となる可能性

 

高校通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が10日、米国の大学留学を決断した。プロ志望届の提出期限が12日、ドラフト会議が26日に迫る中、高校最後の公式戦となった履正社(大阪)戦後に報道陣から進路について問われ「現段階ではプロ志望届を出さずにアメリカの大学に行くことを考えている」と海を渡る姿勢を示した。進学先は未定だという。

 

  ドラフト上位候補の佐々木麟太郎が、米国の大学への進学を決意した真意は、現時点では定かではない。ただ、将来的にメジャーを目指すうえで、NPBを経ない新たなパターンとなる可能性も出てきた。

 

 日本でプロ入りした場合、現制度では1軍昇格後、海外FA権取得まで9年を要する。ポスティングでの挑戦にしても、周囲から認められる好成績を残す必要があり、挑戦時期として不透明な要素が多い。だが、米国の強豪大学で結果を残せば、MLBドラフトで指名される可能性は膨らむ。菊池、大谷の後輩でもある佐々木麟の場合、早い時期からメジャー各球団が注目してきたこともあり、順調にスケールアップすれば、上位指名すら夢ではない。

 

 無論、米ドラフトで指名されたとしても、メジャーへの道は簡単ではない。だが、かつては最低でも「大卒3年、高卒5年」と言われた関門も、近年はマイナーの育成システム改善もあり、トッププロスペクトへの期待値が格段にアップ。オリオールズの遊撃ヘンダーソン、レンジャーズの左翼カーターは、いずれも高卒後、21歳でデビュー。昨年ドラフト全体1位で指名されたオリオールズのホリデーは、来季、20歳でメジャーデビューすると見込まれており、球界全体で「早熟化」が進んでいる。

 

 米大学に進学すれば、言語や文化をはじめ、将来的な米国生活への適応にも障害が軽減されることも見逃せない。これが近道なのか遠回りなのかはわからない。佐々木麟が「誰も通ったことがない道」に足を踏み出すとすれば、「二刀流」を貫いてきた先輩大谷の心意気を受け継いでいるように思えてならない。

 

 ◆米国の大学野球 全米大学体育協会NCAA)のディビジョン1(1部)だけで約300チームが所属。うち8チームが6月にオマハで開かれる「カレッジワールドシリーズ」に出場する。米国では高校野球より人気があり、今年は過去最多の39万人(1試合平均2万4600人)の観客を集めた。MLBのドラフトには4年制大学では3年生を修了、または21歳になった時点で指名対象となり、4月生まれの佐々木麟は25年ドラフトで対象になる。